絵を描くことも、踊ることも、歌うことも、表現するという点では同じだと私は考えています。

子どもたちが、ジャンルを超えてさまざまな表現に出会い、自分らしさを見つけて欲しいと思っています。

私は石川県金沢市で育ちました。

子どもの頃は、おたまじゃくしやカエル、トンボを追いかけ、道ばたの草花を摘んでは小石でたたいて色の汁を出して遊んでいました。

今思えば、それが私にとって最初の色遊びだったのかもしれません。

夏休みには加賀市にある祖父母の家で過ごしました。海で従姉妹たちと貝殻を拾ったり生きものを探したり。畑で採れたてのスイカやトマト、きゅうりを味わったり。そんなことが当たり前の日常でした。

春は金沢城を横目に兼六園の桜を眺め、

秋は中央公園の紅葉のトンネルをくぐりドングリを拾って通学しました。

冬になると雪が積もり、真っ白な景色を見ると我慢できず、ミニスキーで寄り道をして帰ることもありました。

そんな幼稚園から中学校まで12年間通った場所は、現在では金沢21世紀美術館になっています。

かつて部活動で汗を流したテニスコートには屋外作品が展示され、中庭の大きな欅の木だけが今も変わらずその場所に立っています。

大人になって美術館を訪れるたびに、幼い頃の記憶がよみがえります。

あの頃は当たり前だった何気ない日々が、今の私をつくっているのだと感じます。

 

家では建築家の両親が仕事をしていました。

図面を描く姿や、ものづくりについて語り合う様子を見ながら育ちました。

当時は特別なことだと思っていませんでしたが、今振り返ると、創造することや形にすることへの興味の原点は、その環境にあったように思います。

自然に囲まれた暮らしと、ものづくりが身近にある環境。

その両方が、私の感性や価値観を育ててくれました。

成城アートスタジオのロゴに描かれている黄色いライオンは、息子が幼稚園の頃に描いた絵がもとになっています。そのライオンを見るたびに、子どもたちが本来持っている豊かな感性や自由な発想の素晴らしさを思い出します。

子どもたちは一人ひとり違う世界を持っています。

私たちは、その世界を大切にしながら、それぞれの表現を育んでいきたいと思っています。

振り返ると、私を育ててくれたのは知識や技術だけではなく、自然の中で遊び、人と出会い、本物のものづくりに触れる体験でした。

私は自分の息子にも、そうした体験を大切にしてきました。

そして成城アートスタジオでも、絵や踊りを学ぶだけでなく、人や自然、文化や社会との出会いを大切にしています。

子どもたちに、たくさんの本物の体験を届けたいと思っています。

感動すること。

夢中になること。

心が動くこと。

そうした体験が、

「描きたい」

「伝えたい」

「表現したい

」という意欲につながると信じているからです。

いつか大人になった時、

作品づくりに夢中になったこと。

初めての舞台で拍手をいただいたこと。

誰かとの出会いに心が動いたこと。

そんな一つひとつの体験が、その子の人生を支える原風景になってくれたら嬉しいです。

感動を、表現に。

その想いを胸に、一人ひとりの子どもたちと歩み続けていきます。